花と水に親しむ、夏のてぬぐい
2024.06.14
- Journal
石本藤雄・2024年夏てぬぐいの発売です。
この夏の新作3柄は、石本にとって創作の源になっている、花や水などの自然がモチーフになっています。チャーミングな花が賑やかに連なる「花図鑑」、凛とした白い薔薇の姿を描いた「ローズ」、力強い波が重なる大胆なデザイン「川遊び」の3種。石本にこれらのデザインにまつわる話を聞きました。
空想の花を集めた図鑑
今回のデザインの中で、最初に完成した「花図鑑」。石本の頭の中に浮かんだ花が、力強い線で描かれています。この中の3種の花は、春に発売したトートバッグにも描かれているもの。元々は、てぬぐいのために描かれた絵柄でした。
トートバッグに描いた時と比べて、「なんかこれ、線が太いんですよ」と語る石本。このデザインは、裏表なく使えるように注染を選択したことから、線にはある程度の太さが必要で、数パターン試作して今の太さに決まりました。さらに、グリーンの線を入れることで、引き締まった印象に。パッケージに入れた時にも、このラインが際立つ畳み方にしています。
これらの花の名前を石本に尋ねたところ、「花図鑑ですから。皆さんで調べてみてね」と、ユーモアのある答えが返ってきました。
短い出会いを楽しむローズ
ピンクの地に、純白の薔薇の佇まいを描いたデザイン「ローズ」。この花は、石本にとって思い出に残る花でした。
「この薔薇はね、僕が子どもの頃、学校から帰る途中に、昔で言う庄屋さんの垣根にあったんです。白い花がいっぱい咲いて、いいなあと思って眺めていた」
遠い記憶に残る花が、偶然にも近所に咲いていることを発見した石本。それから毎年、花開く季節を楽しみにしているそう。ふっくらとした蕾、延びる蔓や葉のシルエット、そして大きく開く花。その姿をてぬぐいの枠の中に収めました。
「この花の寿命は短いのですよ。すぐに駄目になる」
儚い花の一瞬を愛おしむ、石本の眼差しが感じられるデザインです。
新しい感覚の川遊び
緑と赤の大胆な波に、青の1本線が重なる「川遊び」。これまでに手がけたてぬぐいと比べて、「この感覚、デザインはなかったよね」と石本が語るように、強烈な個性を放つデザインです。
はじまりの原画はドローイングでした。遊び心のあるラフな線画に、大胆に配色することによって、印象を大きく変化させました。このデザインは「川遊び」と名付けられました。
「水辺っていう意味で川遊びに」
これまでに、テキスタイルや陶芸で、様々な水の姿を表現してきた石本。このデザインが水辺の風景とつながりました。
便利なてぬぐい
石本の暮らしの中にあるてぬぐい。最近は、折り畳んで、ノートパソコンを置く敷物として使っているそうです。濡れたものを拭くだけでなく、1枚の絵として飾ったり、プレゼントを包んだり、ブックカバーとしたり、使い方は、アイデア次第です。