色のうつろいを1枚のてぬぐいに

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色のうつろいを1枚のてぬぐいに

石本藤雄・2024年冬てぬぐいの発売です。
 
この冬の新作3柄は、グラデーションが美しい、ぼかしがテーマになっています。
鮮やかなブルーのぼかしで明け方の空を表現した「夜あけ」、ブルーとグリーンのぼかしの世界が並ぶ「正午」、カラフルでふわふわの綿のような「わたがし」の3種。石本に、これらのデザインにまつわる話を聞きました。

左から、正午、わたがし、夜あけ。

伝統的な表現「ぼかし」を注染で

過去にもぼかしを用いたデザインを手掛けている石本。ムスタキビで手がけたお茶のパッケージにも、ぼかしのデザインが見られます。石本は、ぼかしをどのように捉えているのでしょうか。
 

過去のパッケージデザイン。

「このぼかしというのは、日本の一つの表現ですよね。お年玉の袋や着物であったり、舞台や浮世絵、版画とか、いろいろなところでぼかしというのは使われていて、要するに、日本にある伝統的な柄なんです。弁慶格子とかも、そういった一種の伝統柄」
 
弁慶格子や縞、麻の葉など、日本の伝統柄を見直し、てぬぐいの新たなデザインとしても発表してきた石本。ぼかしも同じく、古くから関心のある柄の一つでした。
 
「僕、マリメッコでも、その感覚で1980年代にぼかしを使った一つのコレクションをつくったことがあるんだけど、注染のテクニックでもぼかしができるから、今回は改めて、てぬぐいでやってみました。3種すべてに、それぞれのぼかしが入っています」

色と幅を指定して染めを依頼。職人の手仕事によるぼかしの表情は、満足の仕上がりに。

イメージが膨らむネーミング

「名前は大切なんですよ」と語る石本。毎回、頭を捻り、名前をつけています。ブルーのグラデーションが美しい1枚は「夜あけ」に。英語では、ブルーモーメントと言われるひと時が、色で表現されていて、日が登る前の空が白む静かな情景が目に浮かびます。
 

CHUSEN てぬぐい 夜あけ

ブルーとグリーンのぼかしが並ぶ1枚は、1日をちょうど半分に分けた時の時間「正午」に。
「一枚が夜あけだから、正午がいいかなと思ったんです。正午っていうのは真ん中でしょう。二つあるから、前後っていう感じで」
 

CHUSEN てぬぐい 正午

人気のてぬぐいHANAMICHIと同じ原画を用いたデザインは、「わたがし」に。原画の水彩の濃淡が染めによって表現されていて、カラフルでふわふわした綿菓子をイメージさせます。

CHUSEN てぬぐい わたがし

てぬぐいを身近に

フィンランドで50年に渡り過ごした石本が、その海外生活でも愛用してきた「てぬぐい」。拭く、敷く、巻く、包む以外に、壁にかけたり、ブックカバーにしたり、使い方は自由です。

「夜あけ」をテーブルランナーとして。

「正午」をOKSAてぬぐいバーで1枚の絵のように飾る。

「わたがし」をキッチンクロスとして。

インタビュー中に、「正午」をたすきのように細く折り畳んだ石本。
「こう、細長くするともっと綺麗だなと思ってさあ。この方が、色が綺麗に見えるでしょう。その面白さがあるわけ」

細く折り畳むと、色をくっきりと感じられる。

折り畳んだ手ぬぐいを頭に巻いてみた石本。
「鉢巻きね。汗をかいた時とか、てぬぐいをよくこうやっていたよね」
 

「正午」は半分に分かれるデザインのため、結んだ時の色の出方がユニーク。

ぼかしをテーマにした新作てぬぐいは、シンプルなデザイン故に、畳み方によって、見え方が変わる発見があります。一枚で、何通りも楽しみ方があるファブリックです。

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