石本藤雄が描いた果物をてぬぐいに

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石本藤雄が描いた果物をてぬぐいに

石本藤雄・2025年冬てぬぐいのご紹介です。
 
冬の新作は、年末年始を迎えるのに相応しい縁起物の果物をまとめたシリーズです。鮮やかなピンクの桃が並ぶ「もも」、石本らしい丸い実りのイメージを描いた「果実」、実と花が愛らしい「みかん」の3つ。今回は、石本が過去に手がけた絵皿の作品が元になっています。これらのデザインにまつわる話を聞きました。

見つめ続けてきた果物「もも」

鮮やかなピンクの桃がころんころんと転がるようなデザイン「もも」。

石本藤雄にとって「桃」は、ここ1年あまり継続して取り組んできたモチーフです。2025年3月の「石本藤雄展 桃」では、桃のオブジェやレリーフを発表し、さらに同年7月に開催された「石本藤雄展 芥子 -けし-」でも、桃を描いた絵皿を制作しています。 

FUJIWO ISHIMOTO 桃(2025)

絵皿の絵をてぬぐいのデザインとするにあたり、桃の数を増やし、敢えて茎を省きました。
「これがね、注染でやるには大変だったんですよ。2回で染めるのはどうしても無理なところがあって、結局、茎をなくしちゃった。茎が見えるといいんですけど(笑)」
 
石本の中では、枝に鈴なりのイメージ。枝がなくとも豊作の実りのイメージが伝わります。邪気を払い、不老長寿をもたらす縁起物とされる果物が福をもたらすことでしょう。

石本らしさが詰まった「果実」

橙色と山吹色のふくよかな実が描かれている「果実」。柑橘のようにも見えますが、石本曰く、「想像上の果物です。だって葉っぱがみかん系じゃないもんね」

このデザインは、2018年を皮切りに愛媛、京都、東京で開催された巡回展「石本藤雄展 -マリメッコの花から陶の実へ-」で発表した絵皿が元になっています。

当時の図録を眺める石本。上がてぬぐい「みかん」、真ん中が「果実」の元になった絵皿の作品。

石本らしい丸いかたちがここにも見られます。
「まあ、まんまるではないよ。だって、ここが膨らんでいるもんね。なんかリラックスできます」
真円でない、少し潰れた丸いかたちは、石本の作品の特徴の一つでもあり、2026年にオープン予定の石本藤雄デザインミュージアムのロゴタイプにも落とし込まれています。石本らしさをより感じる1枚です。
 

愛媛の原風景、季節が重なる「みかん」

生い茂る葉の間から顔を覗かせる愛らしい黄色い実と花をモチーフにしたこのデザインも、「石本藤雄展 -マリメッコの花から陶の実へ-」で発表された絵皿が元になっています。

みかん農家に生まれた石本の作品には、度々みかんが登場します。石本のみかんにまつわる思い出を語ってくれました。
「みかん、美味しいね(笑)。晩飯のあとさあ、うちはね、土間で焚き火をしていたの。火を燃やして、その周りに座って。その側のでっかい籠にみかんがいっぱいあって、それを食べていた記憶がある」
 
火を眺める一家団欒の傍らにあったみかん。シーズン中は家族総出で収穫したことも話してくれました。石本にとって身近なみかんを、爽やかで甘い香りが漂う花の季節、たわわな実りの季節が重なり合うように、1枚の布に表現しています。故郷・愛媛の原風景です。

てぬぐいを冬の彩りに

壁に掛けるだけで空間を明るくする、果物シリーズのてぬぐい。拭く、敷く、巻く、包む、そしてテーブルランナーとしても使える、まさに優れもの。さまざまな用途で楽しめるこの新作を、冬のギフトやご自宅の彩りにいかがでしょうか。

タオルハンガーに掛けるだけで、空間の印象が変わる。

「果実」をテーブルランナーとして。

贈りものには、ギフト袋「ひらめき」がおすすめ。

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