涼をよぶ夏の”てぬぐい”、はじめました。

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涼をよぶ夏の”てぬぐい”、はじめました。

MustakiviのCHUSEN(注染)てぬぐいシリーズの第3弾が発売されました。2022年夏コレクションとなるのは、「SHABONDAMA」(シャボン玉)、「MICHIKUSA」(道草),
「SUICHUKA」(水中花)、「KABOSU」(かぼす)の4種。デザインを手がけた石本藤雄さんにお話を伺いました。

左から、SHABONDAMA、MICHIKUSA、SUICHUKA、KABOSU

今回のてぬぐいは、夏にぴったりな白地を生かしたデザイン2種と、青みがかったグレーの色をベースとしたデザイン2種。一つひとつのデザインを考えながら、4種並んだ時のバランスも考えてつくられていきました。
まずは、白ベースのものから。個展の準備が進むアトリエで、完成したてぬぐいを手に取りながら、石本さんに当時の様子を話していただきました。
 

未発表の花を咲かせた SUICHUKA(水中花)

水の中で、爽やかなブルーの花が咲いているかのようなデザイン「SUICHUKA」(水中花)。
もともとは、石本さんが、マリメッコのテキスタイルデザイナー時代に生み出したデザインがベースとなっています。

「この図案の柄は、いわゆる日本のかき氷屋さんの旗のイメージがスタートですね。そのイメージを基にデザインしていて、もちろんかき氷ではないですけど……」

フィンランドで、一枚の布を前に、リピートさせる柄を常に考え続けてきた石本さん。デザインは、懐かしい日本の思い出から着想することもあり、夏の風物詩である氷旗とはなんともユニークです。

当時は商品化されなかったデザイン。それでも、シルクスクリーンで刷り、試作したテキスタイルは捨てられることなく、現在も石本さんの手元にありました。日本に帰国してから改めて眺めてみると、てぬぐいにちょうど良いと思いつき、夏のコレクションへ提案を。

それから、てぬぐいに落とし込むため、柄をスキャンし、データ化して、てぬぐいのサイズに合うようにレイアウトを調整しました。最初は当初のテキスタイルと同様に紺をベースにすることを考えていましたが、スタッフと色を変えて検討していたら、白もいいなと思い始めた石本さん。

「白地にしたら、フレッシュな感じがしたんですよ。すごく清潔な感じがするよね。白地がいつまでも綺麗な白で残っていれば、最高です。てぬぐいだからそうはいかないんだけどさ」

そうして完成したてぬぐいを見た石本さんの頭の中で、昔見た「水中花」が閃きます。水中花とは、水を入れたコップなどに、造花や造り物の魚などを入れて楽しむもの。江戸時代に日本に伝わったとされ、夏の季語にもなっているこの言葉を商品名としました。

花のようにも、そして「氷」の文字のようにも見えてくる想像力を掻き立てられるデザインです。テーブルセンターやランチョンマットとしてご利用いただいても、涼しさを運んできてくれます。

石本さんがかつてデザインし、自身でシルクスクリーンプリントをして試作した生地。この未発表のデザインを、どのようにてぬぐいとするのか、Mustakiviスタッフと検討した時の様子。

レリーフからてぬぐいへ KABOSU(かぼす)

てぬぐいを広げた時に、大小2個の青い柑橘が並んでいる「KABOSU(かぼす)」。この柑橘は、石本さんの青いみかんのレリーフ作品が元になっています。みかんを大胆に配置したデザインですが、てぬぐいという決められた形の中への配置を試行錯誤したという石本さん。

「このみかんがいっぱいあるとか、2個がシンメトリーになるとか、3個並んでいるとか、いろいろやったんだけど、今一つ。夏ものだから、重苦しいものではなくて、抜けた感じが良いなと思って、最終的にこういうレイアウトになったんです」

白が綺麗だねと石本さんが語るように、余白を生かした、まるで掛け軸のようなデザインに決まりました。

みかんの色の検討も石本さん流。レリーフ作品の写真を実寸大にコピーして、実の部分をカッターで切り抜き、裏側に候補の色を当てていきます。わかりやすい上、切り抜かれた穴を眺めているとまた違うアイデアが浮かんできそうです。感覚を大切にしたアナログなものづくりの面白さを教えられる時間でした。

石本さんが切り抜いたみかん

名前は、秋を先取りしたKOBOSU(かぼす)になりました。掛け軸のようにかけて、石本さんの絶妙なバランス感覚をお楽しみください。青いみかんのレリーフ作品は、ポストカードにもなっています。てぬぐいとカードをセットにして、プレゼントするのもおすすめです。

遊び心あふれる SHABONDAMA(シャボン玉)

さまざまな円がふわりふわりと揺れるデザイン「SHABONDAMA(シャボン玉)」。今回のてぬぐいのために描かれたデザインです。そのきっかけは、石本さんの家にあった円定規でした。

「直径が1ミリ単位で違う円が並ぶ定規があって、それは、図面を書く人とかが使うんだけど、それでちょっと円を描いて遊んでいたんです。そうしたら、これ、シャボン玉みたいだなって思えてきて、新しいデザインにならないかなって。まさに定規で遊んでいたんです」

よく見ると、この円の線には、ポツンと点を見つけることができます。円定規で描いた時に最初にペンを置いた起点となった部分です。データ化する時に線を滑らかにすることも可能でしたが、敢えてそのまま残したことで、石本さんが丸を描いたリズムを感じられます。

また、生地両端に余白を残したのも特徴の一つ。「なぜ端っこまで柄をやらなかったのかというのは、たまたま図面を見ていて、うまく空いていて、これもいいなと思ったんです。偶然の思いつき」と語る石本さん。まさに、遊び心と偶然が重なりあって完成したデザインと言えます。

実店舗では、てぬぐいサイズに裁断する前の反物をディスプレイしています。数枚を吊るして、暖簾のようにお使いいただくのもおすすめです。

歩きながら見た景色 MICHIKUSA(道草)

数種の可憐な草花をランダムに散りばめた「MICHIKUSA(道草)」。
石本さんが寝具用のデザインとしてあたためていたものを、てぬぐいのサイズに落とし込みました。

思い描く夏の草花を集めたというデザインの原画は、軽やかな線で描かれています。このてぬぐいには道草という名前をつけた石本さん。道草の途中で見た光景でもあるようです。

「線路沿いにね、結構いろんな花が咲いているのを見たんですよ。でも、この間見たら、刈られたのか掃除されていたのね。結構、綺麗な花が咲いていたりするのに。このデザインは、まあ、そういう花ですね。」
 

石本さんと歩くと、道端の何気ない、雑草と呼ばれるような草花にも足を止め、写真を撮ったり、スマホのアプリで名前を調べたり。足元にある面白さや美しさを発見し、それが創作にもつながっています。そんな石本さんの眼差しを感じられるデザインと言えます。

「まあ、この日照りの中では、道草どころでは……」と石本さんは笑いますが、暑い夏のお出かけにもてぬぐいは便利。首にかけたり、汗をぬぐったり、何かを拾ったら包んだり。てぬぐい「道草」を持って、道草をお楽しみください。

石本さんの故郷・砥部町で、次の訪問先に向かう前の時間にちょっと道草

涼を呼ぶ、夏のてぬぐいを使う

それぞれのストーリーを背景に持つ、夏のCHUSENてぬぐい。どれも涼やかなデザインとなっています。お気に入りのデザインのてぬぐいを選べば、目にするだけで涼を感じます。

汗ばむ季節、水や汗を拭くのはもちろんですが、飾って、空間を彩ることができるのもこのてぬぐいの魅力。また、テーブルクロスとして使うのもおすすめです。1枚でも、数枚を組み合わせても、テーブルコーディネートを楽しめます。こぼしても、気軽に洗うことができ、すぐ乾くというのも、便利なポイントです。

便利なてぬぐいを、暮らしの中に。夏の手土産やギフトにいかがでしょうか。
 

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