20年以上の時を経て、石本藤雄の作品を砥部で再現

20年以上の時を経て、石本藤雄の作品を砥部で再現

1994年に、石本藤雄がフィンランドのアラビア社で制作した陶器のプレート作品を砥部(磁器)で再現しました。ふわりと料理を受け止める柔らかなフォルム、細いストライプのライン、深いブルーのカラーリングが特徴の器です。器と同じストライプ模様の箸置きも同時期に制作されており、箸置きも砥部で再現しました。

第一弾は、紺の釉薬を使い、作品のイメージにより近いブルー。第二弾はマットな質感の白を商品化しました。

多くのデザイナーが手がけてきたボーダーやストライプ。石本藤雄にとっても例外ではなく、過去のデザインを振り返ると、様々な間隔や色のストライプデザインを生み出しています(マリメッコ時代のストライプのデザインについては”Return and Sender”のKaihoJuhlaをご覧ください)。

そして、Mustakiviで手がけたハンカチやてぬぐいのデザインもやはりストライプでした。無機質な線によるシンプルな構成にも関わらず、そこに名前がつけられた途端、風景が浮かび上がってくる、そんな力を持つストライプ。簡単に見えても、その誕生までには線の太さや配置の間隔を何度も変えて、試作が繰り返されています。知れば知るほど奥深い世界です。

ストライプを、陶芸の表現でも取り入れている石本藤雄。今回再現したプレートの他にも、花器を発表しており、Mustakiviで2018年に開催した展示会「陶と花」でも見ることができます。この特徴的な細いストライプは、実は、アラビア社で見た段ボールに心惹かれて、その凹凸を用いて付けられたもの。多くの人が見過ごしてしまうようなところを見逃さない、日々の観察眼から生まれた作品とも言えます。

「陶と花」(2018 Mustakivi)より

SOBAシリーズの原型となった作品

そんなストライプシリーズのプレートを、石本藤雄の故郷の砥部で、窯元「すこし屋」の協力の元、再現しました。

ストライプの凹凸は、石本がフィンランドで制作した時と同じダンボールを押し当てて痕を付けています。

全体のフォルムは、四角の木枠の上に布をかけ、たわんだ形を写し取るという、これも同じ手法で行っています。そうしてできた形を素焼きにし、それを鋳込み成形の型の元にしました。

釉薬もテストを重ねて決定するなど、石本自身が何度も砥部に通い、チェックの後に完成となりました。

石本藤雄がこの器で蕎麦を食べたいと語ったことがきっかけで、本シリーズの名前は「SOBA」となりました。布から象られた柔らかな形は、蕎麦はもちろん、さまざまな料理を受け止めてくれます。和食器とも北欧デザインの器とも相性の良い、洗練された存在感のある器です。

色は紺と白の2色。艶のある紺はストライプの凹凸があることから、見る角度によって表情が変わるのも魅力の一つ。白はマットな質感が特徴で、コーディネートしやすい器です。日々の食卓でお使いください。

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