Luola|Oiva Toikka|2010
Designer: Oiva Toikka
Year: 2010
Size: W23.5 × D23.5 × H17 cm
Maker: iittala / Nuutajärvi
Sign: Oiva Toikka Iittala 2010 18/50
オイバ・トイッカが2010年に発表した《Luola(ルオラ)》。
フィンランド語で「巣穴」や「洞穴」を意味する言葉です。
iittalaのArt Worksコレクションとして制作され、わずか50点のみが製作されました。同年には《Lähde(泉)》なども発表されており、いずれもオイバのアートピースとしての側面を強く感じさせる作品群として知られています。
この作品を見ていると、オイバが長年探求してきた「ガラスの塊と空間」の関係が思い浮かびます。
その源流には、1985年に始まった《Decollete》シリーズがあります。ガラスの一部を大胆に切り取り、光や空間そのものを作品に取り込もうとした試みでした。
《Luola》もまた、外側の形を見る作品というより、内側へと視線を導く作品です。
覗き込む角度によって光が屈折し、厚みのあるガラスのなかに思いがけない景色が現れます。
一見すると色彩の作品ですが、眺めているうちに視線は自然と内側へ導かれていきます。
オイバが見つめていたのは、形そのものというより、そのなかに生まれる空間だったのかもしれません。
《Luola》は、そんな静かな探求を感じさせる作品です。
そこにあるのはガラスでありながら、清らかな水をひとつ置いているような気持ちになります。
底面にはエディションナンバーが手彫りで刻まれています。
Oiva Toikka(オイバ・トイッカ)|1931–2019|FINLAND
フィンランドを代表するデザイナーのひとり。「Kastehelmi(カステヘルミ)」や「Birds by Toikka」をはじめ、多くのプロダクトやアート作品を生み出しました。鮮やかな色彩や大胆な造形で知られる一方、その創作の背景には民俗芸術や古代文化への深い関心がありました。戦後フィンランドデザインが機能性や合理性を追求するなかで、オイバはむしろ、ユーモアや偶然性、人間らしい不完全さに魅力を見出していました。
「私はそれを仕事とは呼ばないね。楽しむことが好きなんだ。」
83歳のときに残したその言葉の通り、彼の作品には自由な発想と遊び心が息づいています。石本藤雄とも親交が深く、互いの作品を暮らしのなかで愛用していました。
iittala / Nuutajärvi(イッタラ/ヌータヤルヴィ)|FINLAND
Nuutajärviは1793年創業の、フィンランド最古のガラス工場のひとつです。1950年にARABIAと同じWärtsiläグループの傘下となり、カイ・フランクをアートディレクターに迎えたことで、フィンランド・ガラスデザインの黄金期を築きました。1988年にはIittalaと統合され、2014年にガラス生産は終了。オイバ・トイッカをはじめ、多くの名作がこの地から生まれました。