Ring Plate|Kaj Franck|1960–80s
Designer: Kaj Franck
Year: 1960–80s
Size: Φ38 × H2.5 cm
Maker: Nuutajärvi
Sign: Kaj Franck Nuutajärvi Notsjö
カイ・フランクが1960〜70年代にヌータヤルヴィで手がけた《Rengaslautanen(リングプレート)》。
フィンランド語で「輪の皿」を意味するこのシリーズは、ヌータヤルヴィの職人たちとの協働によって生み出されたアートガラス作品です。
同心円状に重なるガラスの層は、一点ごとに異なる表情を持ちます。
鮮やかな色彩を用いた作品も多く存在しますが、本作は白と透明なガラスだけで構成されています。
色を加えるのではなく、光そのものを見せようとしているかのようです。
ガラスの内部には無数の気泡が閉じ込められており、光を受けるたびに繊細な陰影が浮かび上がります。
カイ・フランクは1950年代以降、フィンランドにおけるアートガラスの発展に大きな役割を果たしました。
ヌータヤルヴィでは職人たちとともに一点物の制作に取り組み、その過程で得られた発見は、次世代のデザイナーたちが拠り所とできる、ヌータヤルヴィ工房の高い技術水準の基盤を築いたようです。
アートとプロダクト。
特別なものと日常のもの。
そのあいだを往復することで、フィンランドのガラス文化は豊かに育まれていきました。
この作品にもまた、そうした試行錯誤の時間が静かに刻まれているように感じます。
手に取るたびに、新しい光の表情に出会える一枚です。
Kaj Franck(カイ・フランク)|1911–1989|FINLAND
「フィンランドデザインの良心」と称されるデザイナー。ARABIAやNuutajärviで数多くの名作を生み出し、その思想はひとりのデザイナーの活動を超えて、フィンランドのデザイン観そのものに大きな影響を与えました。機能や合理性を追求しながらも、カイの造形には、どこか人間らしい揺らぎや温かさが残されています。幾何学的でありながら、完全には閉じきらない曖昧な線。その有機的な余白が、愛着へとつながっていくように思います。日本の民藝や手仕事の文化に深い関心を寄せていたことも、今あらためて見つめ直したい点です。1970年には石本藤雄と出会い、その後のお互いに影響を与えました。日常に根ざしながら普遍的な美しさを探求した姿勢は、今なお多くの人を惹きつけています。
ARABIA / Nuutajärvi(アラビア/ヌータヤルヴィ)|FINLAND
Nuutajärviは1793年創業の、フィンランド最古のガラス工場のひとつです。1950年にARABIAと同じWärtsiläグループの傘下となり、カイ・フランクをアートディレクターに迎えたことで、フィンランド・ガラスデザインの黄金期を築きました。1988年にはIittalaと統合され、2014年にガラス生産は終了。オイバ・トイッカをはじめ、多くの名作がこの地から生まれました。