No.9 Viola|Birger Kaipiainen|1990s
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Viola|Birger Kaipiainen|1990s

Designer: Birger Kaipiainen
Year: 1990s
Size: L46 × W43 × D6 cm
Maker: ARABIA / Pro Arte
Sign: Serial Number 887/3000


ビルゲル・カイピアイネンが手がけた《Viola》。

1967年のモントリオール万博のために制作された、幅40メートルを超える陶板壁画《Orvokkimeri(スミレの海)》をもとに、1990年代にARABIA Pro Arteシリーズとして制作された作品です。

無数のスミレが広がる壁画のなかから、一輪だけを取り出したような造形。

こちらは高さ約46cm、幅約43cmの最も大きなサイズです。

約60年前の春。

1964年5月、東京・日本橋白木屋で開催された「フィンランド・デザイン展」を、当時23歳だった石本藤雄さんも訪れています。

「ヴィオラが壁一面に掛かっていた光景を、今でも覚えている。」

後にフィンランドへ渡り、マリメッコでデザインを手がけ、アラビアで作陶することになる石本さんですが、そのときはまだ、自らがフィンランドで生きることになるとは想像していなかったはずです。

それでも振り返ると、このヴィオラとの出会いは、その後の人生のどこかに静かに残り続けていたようにも思えます。

フィンランドへ渡った後も石本さんは長くヴィオラに惹かれ、後年、その想いを知ったカイピアイネン本人から一枚のヴィオラが贈られました。

その作品は、今も石本さんの暮らしのなかにあります。

こちらは1990年代に制作されたPro Arteシリーズの作品です。

花弁の起伏や釉薬の表情を眺めていると、そこには、アラビアの職人たちがカイピアイネンへの敬意を持って、

その造形を丁寧に写し取ろうとした痕跡が残されているようにも感じます。

Pro Arteシリーズを代表するような、名作のひとつです。


Birger Kaipiainen(ビルゲル・カイピアイネン)|1915–1988|FINLAND

フィンランドを代表する陶芸家のひとり。果実や花、鳥といった自然のモチーフを用いながら、独自の幻想的な世界を築き上げました。戦後の北欧デザインが機能性や合理性を追求するなかで、カイピアイネンは装飾の持つ力を信じ続けた作家でもあります。

その作品には、植物の生命力や物語性、そしてどこか夢を見るような自由さがあります。緻密なレリーフや豊かな色彩は装飾でありながら、単なる飾りにとどまりません。日常のなかに想像力の居場所をつくり出そうとしていたようにも感じられます。

後年アラビアのアートデパートメントで活動する石本藤雄にとっても、カイピアイネンは特別な存在でした。その作品は今なお、多くの人の記憶に残り続けています。


ARABIA(アラビア)|FINLAND

1873年創業のARABIAは、フィンランドを代表する陶磁器メーカーです。日々の暮らしで使われる食器から、一点物のアート作品までを手がけ、フィンランドの生活文化とともに歩んできました。

カイ・フランクやビルゲル・カイピアイネンをはじめ、多くの優れたデザイナーや作家たちがここで活動し、それぞれの時代を象徴する作品を生み出しています。

量産品とアート作品、機能と表現。その両方が同じ場所で育まれてきたことは、ARABIAの大きな特徴です。石本藤雄もまた、その伝統を受け継ぐ作家のひとりでした。

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