石本藤雄と日々の暮らし 1(プロローグ)

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石本藤雄と日々の暮らし 1(プロローグ)

プロローグ:はじまりの風景

フィンランドのマリメッコ社のデザイナーとして、400種類ものデザインを手がけた石本藤雄さん。その後はアラビア社のアート部門の作家のひとりとして、陶の作品にとりくんできました。

「長年にわたる制作の原点は、生まれ育った日本の地にあります」。石本さんは語ります。石本さんの心の奥深いところで静かに、しかし確かな輝きを放ち続けてきたのが、故郷である愛媛で感じとっていた自然の光景でした。

日本とフィンランドと、それぞれに暮らす時間がハーモニーを奏でるかのように紡がれてきた、石本さんの創造世界。その目と心が感じとってきた四季折々の風景や日々の暮らしの瞬間、瞬間を、わたしたちもまた、感じることができたなら……。そうした思いとともに、このコラムを始めていきたいと思います。

幼少時代を過ごした故郷での日々にはじまり、フィンランドでの出会いと制作、そして現在の活動について。

石本藤雄さんのこれまでと今を、紹介していきます。

次回につづく

タイトル下の写真:©Tetsuya Tokumaru 石本さんにとって故郷を象徴する障子山。フィンランドでも石本さんの心の中心にあった景色。

文:川上典李子
川上典李子(かわかみのりこ) ジャーナリスト。デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立、デザイナーやアーティストの取材を続け、デザイン誌をはじめ「Pen」「Figaro Japon」「Vogue」等にも執筆。2007年より21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクターとしてデザイン展覧会の企画にも関わっている。武蔵野美術大学 客員教授。

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Photo: Kenichi Yamaguchi

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